2015/03/09

続・SNACK?

超長文につき【閲覧注意】。ヒマなときにどぞ。

昨年11月24日の投稿「SNACK?」の、3ヶ月半ぶりの続きで、

1994年発売のスナック菓子、カルビー・ベーコンポテト“BP”と、

そのテレビCMソング、東京スカンクス“BPカウボーイのテーマ”

(ダビすけ作詞作曲)について、の後編です。
右:カルビー/ベーコンポテト"BP"(snack菓子)の中身
左:東京スカンクス/BPカウボーイのテーマ(CD3)の中身

 そもそも無所属フリーのインディー楽団などに大手製菓会社の

新製品TVコマソン制作オファーがなぜ来たかというと、

それは“たまたま”です。

でもまぁ必然性のある“たまたま”だったのかも。というのも

広告代理店の企画会議でCMソングをどうするかというとき、

たまたまその会議の席にTOK¥O $KUNX(以下$x)を

知る人がいて、「ちょうどいいバンドがいるからそこに頼んでみよう」

ということになったみたいだからです。何が丁度よかったかというと、

商品コンセプトが「ウエスタン」×「今の東京のストリートの若者」

みたいなことになっていたからで、

なぜウエスタンかというと新製品の味付けも商品名も

“ベーコンポテト”なので、それは米国カウボーイ料理を

イメージさせるものだから、ということ&

「近々ウエスタンルックが流行る」というウワサを信じて

乗っかったからみたいです。

実はその会議、当初は当時人気急上昇中のB’zとやらに

ウエスタンルックを着せて歌ってもらおうか、なんて意見が

大勢だったようですが、$xを知る人が$xのことを

「今どきのパンクぽいバンドでウエスタン風なオリジナル曲をやってる」

と説明して推したようです。で、結局その場でB’zにではなく

$xにオファー出すことに決したようです。

おそらくメジャーの売れっ子に頼むより、わけのわからん無名バンドに

頼むほうが安あがりだという計算もあっただろうことは

容易に想像がつきますw。まぁこちらとしては、

当時の日本の“CowPunk系バンド”に限定すれば$xが

第一人者だった自負もありましたし、自分自身の作曲センスにも

自信がありましたから、「こういうオファーなら来ることもあんだろ」

的な感覚で、驚くようなことはなかったですね。

で、2つ返事で依頼をOKしてすぐ打ち合わせ。15秒でキリのいい曲の

タタキ台を3つほど用意してくれとのことで、ほんの数日で

サクっとメロディとコード進行だけのを3曲つくり、

広告代理店の下のCM制作会社のさらに外注の音楽制作会社の人に

聴かせて1曲にしぼられ、そのラフテープ(自分1人でギター&

スキャット。あっ、ちなみにオレもギターくらい弾けますよw)で

上の会社にOKをもらって基本メロは即決定。

曲はすぐ決まったけど詞のほうは難渋しましたね。最初に作った歌詞は

JunkとPunkでのライムがツボだったのに瞬殺ボツw。

「“ジャンク”だなんてとんでもない!」とマジ怒されましたねw。

こちらとしては自分でジャンクフードだと自虐的に言っちゃいつつ、

やっぱジャンクPsy高じゃん、喰う?

みたい感覚だったのですが、それは理解されませんでしたね。

そもそもJunkMusic~Noise/Industrial系も

少しは聴いてきたという、

『1980年代のフールズメイト&DOLLあんど宝島』系の

音楽人だった自分にとってJunkって単語は単なる

ゴミ/クズという意味だけじゃぁなかったわけだけど、

“スナック歌詞”には単純に最凶ワードだったんでしょね。みんな内心では

スナック菓子なんて所詮はジャンクフードだ!と認識してるからこそ、

逆に目クジラたてて排除すべき大NGワードなんだなと感じましたよ。

21年後の今でもナシかアリかはわかんないですけどね。

で、そんな危険なw歌詞を書かれてはたまらんということで

広告代理店の担当者から直接5~6個、歌詞に使用する単語の

具体提示があり、それらをいくつか織り込んで作り直しましたよ。

その時点でAメロでのライミングは捨てましたね。

こちらがわざわざライミングしてることへの評価が担当諸氏からは

皆無だったのでね(1994年当時、日本の音楽界で歌詞で韻を

踏むことをマトモに意識してたのはヒップホップ系とレゲエ系だけ、

と言ってしまってもよい状況で、その両ジャンルと無縁の人だと

音楽関係者でも「はぁ?ライム?韻?何それ」でしたね。

21年後の今はその当時と比べれば他ジャンルの音楽人にも

ライミングを意識する人は増えてはきてるようですけどね)。 

そのかわり、CMでは使われないBメロでは韻を踏んでますw。

で、なんとか歌詞もOKが出た頃に、CMソングがファンハウス

(当時あったレコード会社)からCD化されることが決まり、

2曲録音することになり、急遽もう1曲つくりましたよ。

タイトルは「続・BPカウボーイ」。

1曲目の「BPカウボーイのテーマ」が短調ウエスタン

(てか昭和変身ヒーローのテーマ風かもなーw)だったので、

2曲目のほうは長調おちゃらけヒルビリー~ブルーグラス風

にしときました。ちなみにCMソングのオファーが来たのが

93年12月。2曲の作曲と作詞が終わったのが94年1月末くらい。

それから3週間くらいバンドで特訓wして2月後半くらいに

レコーディングしましたね。その段階でカルビーBPは

関東限定で4月上旬発売が決まっており、同時に関東ローカルで

テレビCMもオンエアされることになってました。

さらに4月下旬にCMソングCDが発売され、

カルビーBPの売れ行き次第では発売3ヶ月後の7月に全国発売

(同時にCMも全国オンエア)、状況によってはCM第2弾も制作

(CMソングはCDの2曲目を予定)、という予定でした。

CM第一弾の撮影は3月にあり、$xもアタマ2秒だけクチパクで

メンバー5人出演することとなりました。そのクチパク撮影日に

楽屋に商品BPの試作品が届き、さっそく味見してみましたよ。

で、その感想は、残念ながら「おわったな」でした。

ハッキリ言って不味い。こんなの売れるわきゃねーと思いましたよ。

でもそれをクチには出しませんでした。CM撮りの最中ですからね。

しかし、なにが不味いってアブラっぽ過ぎたんですよ。

ベーコンポテトというだけあって確かにベーコンの味はするんですが、

ただでさえ粉末ポテトを成形して油で揚げたスナック菓子なのに、

それにさらにベーコンの脂肪ぶんが加わってアブラ過多ブラw、

しつこいことこのうえなし。カルビーかっぱえびせんのCMを

パロって表現するなら

♪やめられる、とめられる、ベーコンポテト...ってな感じでしたね。

中には「美味い、旨い」といって食べてる関係者もいたけど、

きっとCM撮影中なのでみずからを鼓舞してただけでしょね。

逆にわたくしは「カルビーの新製品企画担当者って

どんだけ味障がおんのや~」などと心の中で叫んでましたw。

で予定どおり94年4月にこのスナック菓子もコマソンCDも

発売されましたが、わたくしの悪寒どおり、この菓子は

あまり売れなかったようですね。CDのほうは当時の$x音源の

主要発売元、VINYL JAPANがリリースしてる

CDシングルと比較したら約3倍は一気に売れましたね。

取扱い店舗数が違うので当然です。しかしCMのオンエア回数は

4月~6月の3ヶ月に関東限定で900回強。平均したら1日に

約10回、つまり民放5局で割れば1局あたり1日平均約2回。

早朝から翌日未明までテレビつけっぱにしててやっと2回みれる

という程度の露出頻度だったので関東在住で当時テレビをよく

見てた人でも記憶に残ってる人は少ないでしょね。

BPのCMが必ずオンエアされる番組名を教えてもらってた

自分でさえも3ヶ月の間で5~6回しかオンエアされてるのを

目にしてませんからね。そんな幻に近いレアなCMを、

どなたか知らないアカの他人様がヨウツベにUPされてるので

ご覧になりたいかたはだうぞ。↓

https://www.youtube.com/watch?v=9B4o0jc5KxI&list=PL29F97E2B565F0E4F&index=1

↑この動画の元ネタは、2002年10月26日の$x“改燦GiG”

(@新宿ロフト)でチケット入場者の先着50名に無料配布した

VHS(数日かけて$xのバンマス本人が自宅のVデッキ2台で、

せっせと50回ダビングしたものです。ラベルもわたくし自身による

手書きです。)なことは本編前のクレジットでわかります。

どなたかは存じませんが、13年前のその際の開店前からの御来場&

後年のヨウツベUP、1009御苦労様です。

このCFのメインアクトは当時の人気モデル、マーク・パンサーですね。

実は自分はメンズノンノとかいう雑誌は一度も読んだことのない

人種だったので、同氏の顔も名前も全く知らなかったんですよ。

ある人から「BPのCM見たらマークが出ててビックリした」

なんて言われて「誰それ?」って教えてもらったくらいです。

さらにその半年くらい後に「小室ファミリーのglobeのダンサー、

BPのCMに出てたマークだよ」とも人から教えられたんですが

「へえ」の一言でその会話終了w。ところでこのCFのアタマ2秒の

$xのクチパク演奏シーン、合成で渋谷の109前になってます。

そのマルキュー(丸正ちゃいまんでw)の左右

(ようするに道玄坂と東急本店通りかいな?)が

モニュメントバレーやグランドキャニオンを彷彿とさせる、

いかにも米国西部的な岩山と化してるのは真に面白いとは思いますが、

M・パンサー氏以下モデル多数のノリも渋谷でロケ地も渋谷。

$xは渋谷というよりは下北沢~新宿のバンドだったから

何やらアウェイ感すら感じましたね。さらにできあがってきた

無料配布用のBP試供品の袋を見て、これまたガッカリ。

$xコマソンCD発売の告知コピーが書かれてるのはいいんだけど、

曲名が「BPカーボーイのテーマ」になってたんですよ。

カーボーイじゃクルマ雑誌ですよ。「BP買うボーイ」という意味も

込めての「BPカウボーイのテーマ」だったのに完全に台無しw。

何から何までいちいちケチがつきはじめた感アリアリのまま、

6月にはベーコンポテト“BP”は関東限定のまま商品製造もCMも

打ち切りが決定。これにて一連のBP狂騒曲すべて終了。

15年にわたる活動の間に多くのミュージシャンやDJに

少なからぬ影響を与え、今なお続くRusticStompシーン

まで生み出した$xではあったけど、

商業的成功には全く至らなかったことをまるで象徴するかのような

カルビーCMの一件でした。おしまい


PS:写真のBP、製造21年後の開封。クッサい臭い、

すさまじい酸化油的なニオいプラス正体不明な邪香!?w。

味見する勇気など"鼻から"ゼロw。撮影後、すぐ別のビニール袋2枚に

二重で密封して廃棄。&窓を開けて換気。

ちなみに受け皿がわりにしてるのはサッポロビール園のコースター。

実はベーコンポテトBPもカルビー“サッポロポテト”の

姉妹品というか、そのシリーズ一連商品のひとつだったので、

“サッポロ”つながりで使ってみました。

90年代なかばのほぼ同時期に$xは北海道初上陸

(シキリはSLANG。コウちゃん始め皆さんお世話になりました)。

札幌でのライヴ当日の昼メシはジンギスカン@サッポロビール園。

その時に"ちゃんと購入"した新品お土産用コースター

5枚セットのうちの残存1枚がコレ。

英語でSAPPORO BEER GARDENじゃなくドイツ語で

SAPPORO BIER GARTEN と書いてあるのが気に入って

即買いした記憶。ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキー万才!

DasEnde